- 2018-6-23
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2018年6月16日(土)、東京のTOHOシネマズ日比谷にて、「アニメ『僕のヒーローアカデミア』三宅健太(オールマイト)vs大塚明夫(オール・フォー・ワン)トークライブ&リアルタイム上映イベント」が開催されました。本イベントでは、第48話「平和の象徴」と第49話「ワン・フォー・オール」を劇場のスクリーンで上映したのち、三宅さんと大塚さんによるトークライブを展開。第49話にいたってはテレビ放送にあわせたリアルタイム上映となり、ライブ感あふれるイベントとなりました。
第48話を鑑賞し、すっかりテンションの上がった観客たちの前に三宅さんと大塚さんが登場。「私が来た!(三宅さん)」「僕がいる(大塚さん)」とそれぞれキャラの名台詞を織り交ぜながら挨拶を送り、さっそくトークライブへと移っていきます。まずは本作に対する印象を問われた大塚さんは、『週刊少年ジャンプ』の王道を行く成長物語であることに触れたうえで、「出久が主人公、オールマイトが先生という軸でシンプルに進むと思いきや、その裏には実はオールマイトとオール・フォー・ワンによる大きな戦いがあったという構造が面白い。『いい役だねぇ俺!』と思いました」と絶賛しました。
続けて、オールマイトにとって大きな節目となる第49話の内容にあわせ、宮研鑽に演じる上での変化について質問があると、「オールマイトを演るまで、いわゆるヒーローという立ち位置の役をそれほどやったことがなかった。1期の最初の頃は肩に力を入れて“ヒーロー”という形を追いかけていたのが、今日の放送回に至るまででオールマイトをひとりの人間として捉えられるようになりました」と三宅さん。その一方、出久の“先生”としては四苦八苦するオールマイトについての演技が話題になると「そこの感覚は全然演じてないですね。なぜなら僕もあんまり教えるのが得意じゃないので(笑)」とジョークで受ける場面もありました。
そのやりとりを受けた大塚さんが「ヒーローの形を追っていたというのは、多分音響監督の三間(雅文)さんの手のひらで転がされてるんですよね。段々物語が進んでくるとオールマイトの人間味が浮き彫りになってくるから、それまではヒーローの形を演じてくれればいいんだよって」と補足。続けて三宅さんは、作品を丁寧に作り込んでいくタイプである三間さんとしては珍しく、第1話のアフレコで自身に対するダメ出しがあまりなかったことを振り返りました。その一方、第2話でオールマイトの弱った姿(トゥルーフォーム)が登場するシーンでは、つぶさにディレクションを受けたといいます。
対する大塚さんは、演出で「(敵(ヴィラン)の)死柄木弔をもっと愛してください」といつも言われているとのこと。師匠が弟子を愛することがどういうことなのかを試行錯誤しながらアフレコに臨んでいて、「結局僕も、手のひらの上なんだよね」と笑顔を見せました。
そんな風に、お互いが大事に育て上げてきたキャラが正面衝突する48・49話のアフレコが話題になると「楽しかったですよ!」と声を揃える大塚さんと三宅さん。「今日はやる日だな」とアフレコ当日に向けてコンディションを調整したという大塚さんは、素晴らしい一日だったと回想しました。一方の三宅さんは、ついに因縁の相手と対峙するプレッシャーから、アフレコというよりは「これから本気で戦うんじゃないか」というくらいの心持ちで、張り詰めた印象の方が強かったといいます。そんな三宅さんは力みすぎて、なんとアフレコ中に倒れてしまったとのこと。該当のシーンは第48話で、オールマイトの攻撃がオール・フォー・ワンによって衝撃を反転される場面だったといいます。「もっと耐えてくれ!」と演出された三宅さんは、入れ込みすぎてしまったと語りました。それを受けた大塚さんは「無呼吸で力を入れると、脳に血がいかなくなってブラックアウトするんですよ」と解説してくれました。
熱の込められたトークが展開された後は、第49話のリアルタイム上映を実施。『僕のヒーローアカデミア』の原作の中でも屈指の名エピソードに位置付けられるエピソード。迫力のバトルシーンが大スクリーンで上映され、観客が映像に釘付けとなりました。上映後、改めて三宅さんと大塚さんを迎え、トークライブの第2部がスタートしました。トゥルーフォームを晒しての戦闘を余儀なくされたオールマイトについては、演じ方をかなり変えていると三宅さん。「あの状態のオールマイトは肺活量もないですし、内臓も半壊している。絞り出す感じで発声しています」と話しつつ、目に闘志が宿っているバランスも考慮したそうです。死柄木がオールマイトの師匠である志村菜奈の孫と明かされる場面の演技については、三宅さんもあまり覚えてないと回答。台本上には声にならない叫びとト書きがあったそうですが、どう表したら分からない気持ちが線の細い叫びとなって表れたとのこと。また、ロバート・デ・ニーロさんがとある映画で見せたお芝居も一部参考にしていると裏話も披露しました。
第49話の手に汗握るバトルシーンでは、おふたりのこだわりが明かされる場面もありました。オールマイトが最後の大技を繰り出す場面では、実は密かに録り直しをしていたという三宅さん。オールマイトはどうしても敵と対話しようとする部分があり、それが劣勢につながる部分があると話した上で、役に入れ込むタイプの三宅さんも同じくオール・フォー・ワンと対話しようとしてしまったとのこと。そのことで、オールマイトのセリフに一手深みが出ないことを悩み、録り直しに臨んだといいます。一方の大塚さんは、オールマイトにトドメを刺そうとしたオール・フォー・ワンの心情についてトーク。「全力で叩き潰すと決めた彼は、少しでもオールマイトが苦しんでいる姿を楽しみたいという段階から、きっと色んな意味で『もういいかな。終わりにしよう』と思ったんでしょうね。その時はきっと遊んでないはずなんですよ。最後に『先生としても私の勝ちだ』と高らかに宣言しながら襲いかかるじゃないですか。あれは本心だと思いますね」と大塚さんの解釈を話してくれました。
また、トークライブ終盤ではおふたりからデクと死柄木、ひいては彼らを演じる山下大輝さんと内山昂輝さんにメッセージが送られました。大塚さんは「『考え続けろ、戦い続けろ。僕はまたどこかで見守ってるから』と思っているでしょうね。私もそう思ってますし、内山くんの成長も楽しみです。彼はすごいですから本当に。弟子の活躍を見るのが楽しみですよね」とオール・フォー・ワンの気持ちを代弁。一方の三宅さんは「山下くんに『次は君だ』と。僕も出し切ったつもりでいるので、とりあえずは一度区切りがついたかなと。『僕はこれぐらいの熱量で行ったよ。次は山下くん、頼んだぜ』って(笑)」と晴れ晴れした表情を見せました。
その後は2018年8月3日(金)より公開となる映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』の予告PVや、6/22(金)発売の劇場前売鑑賞券に付属する限定クリアファイルの実物が紹介される一幕もありました。三宅さんによるとアフレコは既に終わっており、映画に込められた熱量は第49話にも負けていないとのこと。菅田将暉さんが歌う主題歌「ロングホープ・フィリア」の歌詞は、作詞・作曲のamazarashi秋田ひろむさんがオールマイトの視点に立って書いたことも明かされ、客席からは驚きの声が漏れていました。最後は大塚さん、三宅さんから会場のファンにメッセージが送られ、「プルス・ウルトラ!」のかけ声で幕引き。大きな拍手に包まれながらイベントは終了となりました。
【関連サイト】
アニメ公式サイト:http://heroaca.com/
©堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会