花澤香菜「25」ツアー、東京公演『NHKホール』レポート

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4月17日の名古屋公演からスタートした「花澤香菜live 2014“25”」。2枚組の大作となった『25』を引っさげて行われたツアーの東京公演は、満員御礼のNHKホールにて行われた。

開演と同時にスクリーンに映し出されたのは、逆回転する時計。秒針が「チック・タック」とリズムを刻み、そのままシームレスに1曲目「バースデイ」へ。満天の星空が現れたステージの中、静かに歌声を響かせる花澤。心地良いムードが漂う会場は、2曲目「25 Hours a Day」を迎えると一気に温度上昇。赤いワンピースの裾をヒラリと揺らしながら、軽やかにステップを踏む花澤。ピンクのペンライトとカラフルな照明が織りなす華やかな光景の中、「最高のライブにしましょう!」と呼びかけた彼女の笑顔が会場中に伝播していく。サビではこのツアーでお馴染みとなった“25 Hours a Day”の大合唱が巻き起こると、花澤は満足そうに会場を見渡していた。
続く「恋する惑星」でオーディエンスの熱気をさらに高めると、MCでは「こんばんは! 東京!」「今日はたくさん曲をやるので、ついてきて下さい!」と声を上げ、期待に満ち満ちていた会場をより一層沸かせた。
続いて披露されたのは、イントロのスキャットがキャッチーな「Brand New Days」。スクリーンにたくさんのハートが躍るポップなムードの中で、花澤のラブリーな歌声も軽やかに躍る。間奏のラップ・パートではステージを右に左にと動き回り、その姿に思わず会場から大きな歓声が上がった。会場をパフォーマンスで一つに纏め上げると、今度は北川勝利のギター・ストロークが軽快なリズムを刻み込む。花澤自身が岩里祐穂と共に作詞を手がけた「マラソン」だ。青と白のムービングライトが会場を射抜き、この曲の疾走感を表現。その中で、ステージをしっかりと踏みしめながら、まっすぐな歌を力強く響かせていく花澤。オーディエンスとのコール&レスポンスも完璧である。
MCでは、アルバム『25』に込めた“25年間の思い出”と、時計が表現する過去・現在・未来について語られた。そしてNHKホールや父親との「お風呂」の思い出をフランクに“おしゃべり”、実に花澤らしいMCだ。
続くミディアム・バラード「YESTERDAY BOYFRIEND」では、歌詞の情感を歌に乗せながら、丁寧に丁寧に言葉を紡いでいく。いろいろな表情や感情を、1つのステージの中で体現していく彼女の魅力が充分に伝わってくる。次の「Summer Sunset」ではスクリーンに夕日が登場。潮風の匂いが漂いそうな、オレンジに染まる会場。その空間に包まれるように花澤はセンチメンタルな歌声を響かせると、ここで一旦ステージを後に。

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スクリーンに再び時計が登場するが、今度は正しく時計回りに時を刻んでいく。そしてアラーム音が鳴り響く中、花澤は“天使”を思わせる色のワンピースに身を包み登場。「片思いが世界を救う」ではステージ上を動き回る。目まぐるしく移り変わる背景の映像と共に、右へ左へと駆け回っていた。続く「無邪気な君と真夏のメロディ」ではパワフルなラテン・ジャズ・サウンドに合わせてさらにヒートアップ! 花澤のダンス・ステップや、楽しそうにジャンプする姿に何度も歓声が上がった。「パパ、アイ・ラブ・ユー!!」でもそのテンションを下げず、曲中に思わず「サイコーー!!」と絶叫する花澤。オーディエンスもハンドクラップを刻みながら、彼女が生み出すハッピーな熱気に包まれていった。
続いてはアルバム『25』収録曲をメドレー形式で畳みかける。メドレーとは言え、各曲の映像を交えた演出がとても素晴らしく、「真夜中の秘密会議」の深夜の静謐なムードや「Merry Go Round」で“メリーゴーラウンド”が回転する背景、愛らしい振り付けなど、隅々まで見逃せない。

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再びステージを後にする花澤。ここでは北川勝利率いるバンド“ディスティネーションズ”によるメンバー紹介へ。花澤は黒と白のワンピースに着替えて、なんとジャンプしながら再び登場! そしてそのまま流れるように披露された「Young Oh! Oh!」でオーディエンスは最高潮へ。コール&レスポンスが繰り返される度に、NHKホールは温度を上げていった。
「Make a Difference」ではガラリとムードを変え、デジタルで近未来的な空間の中で芯のある切ない歌声を聴かせると、「Eeny,meeny,miny,moe」から再び猛然としたスピード感で「Spanish Apartment」まで一気に駆け抜ける。曲による感情表現の変化を楽しませながら、曲の疾走感でオーディエンスを力強く盛り上げていく、このハイテンションな展開は最高に熱かった。
そしてMCでは、たくさんの声援を届けてくれたファンのみんなに感謝の気持ちを伝え、「自分の体験したこと、経験したことがいろいろな役を演じる糧になる」「だからみんなと、もっといろいろな体験をしたい!」と、これからの声優としての活動、そして音楽活動に対する意欲を語った。
続いては、分厚いギター・サウンドと西日を思わせるオレンジのライトに包まれながら「Last Contrast」を披露。白とオレンジの照明が描き出す景色がまるで白昼夢のようで、美しく、力強く響く花澤の歌声と共に幻想的な空間を生み出していた。
そして、本編ラストとなるのは「Good Conversation」。幾何学的な模様と、万華鏡のような模様が織りなす神秘的な風景の中で、透き通った歌声が優しく、切なく響いていく。まるで映画のエンドロールが流れるような光景の中、「ありがとうございました!」の声と共に、花澤は光の中へと消えていった。

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最高に美しい幕引き後も、会場の熱気は一向に収まらない。鳴りやまないアンコールに導かれ、再びステージに現れた花澤香菜を大歓声が迎え入れた。ピンクのワンピースに着替えた彼女が、自身が考えたという前口上と共にメンバーを呼び込んでいく。
最初にアンコールで披露されたのは、花澤のデビュー曲である「星空☆ディスティネーション」。ミラーボールが回転し会場に星空が現れると、オーディエンスも大合唱で応えた。肩の力の抜けた、心から楽しいムードが伝わってくる花澤の歌声がNHKホールに響き渡った。
続く「Saturday night Musical♪」の前に、コール&レスポンスの練習へ。花澤自身のミスによる何度かのリテイクも、みんなを笑顔にするためのご愛敬! スウィンギンなジャズ・ナンバーに乗せて、花澤はポップにステップを踏む。昨年のツアーと同様、傘を持ったミュージカル風のパフォーマンスも見事にキマっていた。
そして、本当のラストソングとなる「あるいていこう」。最後の最後まで余計な気負いを見せず、自然体のパフォーマンスで楽しませてくれた花澤は、最高の笑顔を振りまきながらステージ上を行進。オーディエンスとの心温まる合唱を楽しむと、「ありがとー!」と叫び、ステージを後にした。

花澤香菜の“season2”を象徴するアルバム『25』、そして今回のツアーにより、彼女はまた多くの体験、経験を手に入れた。彼女の等身大の魅力に満ち溢れたステージと、その魅力を増幅させる音楽、そしてオーディエンスとの理想的な関係性は、これからさらに成長していくことだろう。

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