7月15日よりTOKYO MXほかで順次公開となる第3話「アイツは完璧だった」の先行カットが公開されました!
徐々にバド部に馴染み始める綾乃(CV:大和田仁美)を、複雑な面持ちで見つめている幼馴染のエレナ(CV:小原好美)。一方なぎさ(CV:島袋美由利)は、全日本ジュニアの時とは別人のような綾乃に違和感を抱いていました。そんななか、綾乃の前に、港南高校の1年生エース・芹ヶ谷薫子(CV:下田麻美)が現れ……。キャラクター達の過去の物語が繊細に描かれる注目のエピソードです。
また、放送に向けて、若林和弘(音響監督)と、山田香織(音響効果)のスタッフインタビューの一部を公開!キャラクターの動きや映像の奥行きを表現する臨場感あふれる音響効果も本作の魅力の一つですが、丁寧に作業を重ね、効果音が作られていく様子を語る制作秘話となります。
放送とあわせて、ぜひご注目ください!
■第3話「アイツは完璧だった」
徐々にバド部に馴染み始める綾乃を、複雑な面持ちで見つめている幼馴染のエレナ。
一方なぎさは、全日本ジュニアの時とは別人のような綾乃に違和感を抱いていた。
そんななか、綾乃の前に、港南高校の1年生エース・芹ヶ谷薫子が現れる。
薫子を前に動揺を隠せない綾乃。どうやら、二人の間には何か因縁があるようで……
■若林和弘(音響監督)、山田香織(音響効果)スタッフインタビュー公開!
――原作を読まれての感想はいかがでしたか。
若林:原作ファンの方はご存知のとおり、序盤の少女漫画的な雰囲気からハードなスポーツものへとウエイトがシフトするところで、絵柄もキャラの顔つきも大きく変わる驚きがありました。今回の話をいただいたとき、アニメでは最初から後半のスポーツもののテイストを中心において、そのなかで彼女たちの少女漫画的な人間関係を描きたいとの提案がありました。個人的にも後者の感じが好きだったので、そのあたりのギャップは気にせずに取り組むことができました。
山田:ここまで本格的なスポーツアニメをやるのは、今回が初めてなんです。学生時代にバスケをやっていてスポーツは好きでしたので、「やっとできる」という嬉しさがありました。
――「音響効果とはどんな仕事なのか、よく知らない人が多いと思います。山田さんは、普段どんな風に説明されていますか。
山田:シンプルに伝えるときは、「音楽とセリフ以外の音を全部作っています」と言っています。
若林:環境音や、人や物などが動く音……映像から想像できる、さまざまな音ですよね。それらを別々につくって、映像にあわせて重ねていくという。
山田:はい。私の師匠にあたる人が、アニメーションの創世記の頃から活躍されていた方で、若林さんとも一緒に仕事をされていました。お陰で私もフリーになる前からお世話になっていて、師匠は「本物を使って音を作る」ことをずっと受け継いらした方ですので、私も同じ方法でやってきているんです。今回もラケットやシャトル、バドミントン用の靴などを一式揃えて、日常的な音をなるべくリアルに再現して、「コート上で起こりうる音」で映像になじませるようにしています。
若林:完全に「ない」嘘の音を作るのではなく、「ある」ものを基本にするということですよね。毎回、自分の体を使って音を作ってもらっています。とはいえ「ある音」だけではどうしても足りない時もあるので、そこは柔軟に補って作ってもらうのですけれど。
山田:日常的な音の中に、非日常な音が入ってきても浮かないように、いろいろ調整はしています。
――各話の効果音は、どんなやりとりで作られているのでしょうか。
若林:いちばん最初に江崎(慎平)監督をふくめて全体の世界観をどうするかという打ち合わせを行い、今回は「リアルな方向性で」となりました。その後は、「ここに効果音が入る」というような基本的なことは自分のほうで決め事を作り、それを意識してもらいながら、「特殊なこと」があった場合には、そのつど相談する。という流れです。
山田:私の仕事は、各話ごとに必要な効果音を作る事です。作品によって作る順番は様々ですが、『はねバド!』は生音を録るところからがスタートです。生音が少ない作品だと1時間足らずで終わることもありますが、『はねバド!』の場合、4時間ぐらいかかかってしまいます。そこから絵にあわせて音を編集するのに数時間かけ、更にそこから音量や響きの調整、エコーをかけたり、セリフにあわせて音を左右に振らせたりするなど細かい調整をしていきます。
若林:今言った作業を全部彼女ひとりでやっています。歩き方が違うときは、靴をはきかえたりして丁寧にひとつひとつの音を作ってもらっています。僕もそうですけど、このやり方だと量産はききません(苦笑)。週2本はできないでしょう?
山田:(即答で)はい、本当に厳しいです!(汗)
若林:もうひとつ、これは観ている方には分からないことですが、私達が音響の作業をするとき、映像に色がついているケースはかなり少ないんです。そこを今回は、映像の動きや奥行きまでを考えた音付けをするために、できるだけカラーで作業させてもらうようにと最初に話をして協力してもらっています。それができると、リアル思考の様々な音色や広がりが違ってくるんですよね。今のテレビアニメではなかなか出来ないケースだと思いますが、私は普段からそのように作りたいと考えていて、仕事を引き受ける条件にもしています。
山田:この作品は毎回300数十カット、下手すると400カット近くある話数もあります。映像が求めている音の要求も高くて、効果音の数自体が普段やっている作品の倍以上あるんです。音声データのサイズでいうと、日常的な作品の効果音で1話あたり1.3ギガぐらいなのが、『はねバド!』の場合は5.6ギガぐらいあって……。
若林:4倍以上もある(笑)。
山田:バックアップのDVDに焼けなくて(汗)。それだけ物理的な音の数が多いので、色がついた状態で作業ができるのはとても助かります。効果音もセリフも、本来1フレーム単位であわせていくのですが、動きの情報量が少ないと、やりきれないことがあるんです。例えば、未完成の映像では動きと動きを繋ぐ動画が入っていません。そうするとキャラクターの動きはカクカクしてしまいます。そのカクッとした動きは実際には3コマで動く事もあれば、9コマかけて動く事もあります。そこにどう音をつけるかは勘の世界になってくるんです。なので、『はねバド!』のダビング作業(※映像と全ての音をあわせる作業)のときはカラーなので嬉しくなります。映像に音をしっかり乗せられると、こんなにも迫力が違ってくることを実感しました。
若林:映像が未完成のときに音をつけて、最終的な絵の内容と違っていたまま放送・発売された場合、それを観た人は「音がズレている。音が間違っている」と感じるんですよ。こちらからすると「絵がズレた」のですが、人間は視覚情報が最初にきて、音は二番目になります。音を聞いて想像するよりも、映像を見て想像する方が豊かに想像出来るからなのです。しかもアニメーションは「絵」を基にした虚構の世界ですから、映像に「違和感のない整合性」をもたせた音を意識して作るのです。だからこそ、色のついた映像でできると、より頑張り甲斐があるんです。
★インタビューの全文は公式サイトにて公開中!
【関連サイト】
公式サイト:http://hanebad.com/
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会